読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

The moment

写真で食っていくためのノウハウ、風景写真のテクニックなど紹介します。

冬山登山マミヤ7Ⅱ 厳寒期・寒冷地 4つの対策 フィルムカメラ

先日、写真家 川野 恭子(きょん♪)さん天狗岳 (八ヶ岳) 冬山登山に同行させていただきました。撮っているところ(つまり何を見ているのか)がまるで違っていて、1本の狭い登山道とはいえそれだけでも捉え方に差異や意図があることに面白みを感じていました。今回持っていったカメラはマミヤ7Ⅱ・ライカM6で、基地となる黒百合ヒュッテで一番冷えたのが-20℃でした。この冬季の北海道などの平野部でも同じくらい冷え込むところがありますが、マミヤ7Ⅱを使うにあたり厳寒期登山や寒冷地で対策すべき4点を紹介します。

f:id:blue_moment:20170126122136j:plain


寒冷地対策1:フィルム交換 遮光マスクつまみ

冬山登山はウエアだけでなく手袋も重ね着が基本となり、気温の低下とともに手元が着ぶくれします。素手で難なくこなせる作業でも着ぶくれするほどに難しくなっていきますが、マミヤ7特有でまったくできなくなるのがレンズ交換です。マミヤ7のレンズ交換は遮光マスクを綴じる必要があり、遮光マスクのつまみが小さすぎて手元が着ぶくれているとこの作業ができません。

寒冷地とはいえ 撮影ツアー のような車両やバスからそれほど離れないところであればあまり気にすることはないですが、冬山登山は体温低下を防ぐために手袋を外さないですべての作業をすることが基本となります。

f:id:blue_moment:20170126131218j:plain

マミヤ7(初期型)と マミヤ7Ⅱで遮光マスクつまみの形状が異なります。


遮光マスクつまみを起こしやすくする紐をつける

遮光マスクつまみはマミヤ7(初期型)と マミヤ7Ⅱで形状が異なり、初期型はつまみが小さいため力を入れるのが難しく思いのほか固く、とくに女性はこの作業が難しいということを耳にします。そのくらいかたい?きつい?です。

マミヤ7Ⅱは遮光マスクつまみが改良され力を入れやすくなったのですが、手袋をしたままつまみを起こすことができません。つまみを起こしたままに固定改造してしまっても通常操作に差し支えないのですが、紐を通しておくだけでこの問題は解決します。

ちなみに初期型はマミヤに送ると有償で7Ⅱと同じ形状のパーツ交換をしてくれます。(10年前の話ですが..)

f:id:blue_moment:20170126132101j:plain

マミヤ7Ⅱの場合、つまみをを起こすをつける


寒冷地対策2:寒さに強いリチウム電池 2CR1/3N 4A76

マミヤ7は電子シャッターなので低温で電池活性が止まってしまうと撮れなくなってしまいます。日常使うのに電池消耗は限りなく少なく通常であればアルカリ電池タイプで150本以上撮れるのではないでしょうか。(そう考えるとマミヤ7は優秀) 電池のサイズはボタン電池4個重ねた程度の大きさで、種類は3種類あります。冬山登山や寒冷地では低温耐性の強いリチウム電池を選ぶことが基本です。

リチウム電池は電池持ちがいいので今までの経験でいうとフィルム400本分以上撮れています。(もはや電池の存在を忘れるレベルの電池もちです。)

f:id:blue_moment:20170126133528j:plain

メーカーによって型番呼称がちがう リチウム電池は2CR1/3N・4A76・A544 など


リチウム電池を選ぶ 2CR1/3N 4A76

  • 4LR44(アルカリ電池):安価で入手しやすい。メリットはコストパフォーマンスだけ。
  • 4SR44(酸化銀電池):電池切れ直前まで安定した電圧を供給できるので、精密機械・カメラ向け。
  • 2CR1/3N(リチウム電池)低温特性が高いだけでなく寿命が長い。高価だけど信頼性がある。
  • 4A76(リチウム電池):型番呼称がちがうだけで、2CR1/3Nと同じ。(海外製品はこの型番)
  • A544(リチウム電池):2CR1/3Nと同じ。(同上)

三洋電機 リチウム電池 (カメラ用) 2CR1/3N-1BP 2CR1/3N-1BP

三洋電機 リチウム電池 (カメラ用) 2CR1/3N-1BP 2CR1/3N-1BP



寒冷地対策3:撮影済みフィルムに輪ゴム

寒いところは色んなものが凍ります。例えば厳寒期登山なら鼻水が凍ってつららになるのは誰からツッコまれることもない当たり前の現象といえます。ぼくの場合は寒さで涙がよく出るのですがそれらが凍って目がまばたきた直後に目が開きづらくなる経験をします。

そんな環境下でフィルムが凍りはじめ巻き上げレバーが固くなるとともにカメラの中からバリバリという音が聞こえます。でも、山の大先輩である門谷優氏によると-35℃までは大丈夫らしく、ぼくも経験上そのくらいまで何とかなるのではないかと思います。

それよりも確実にダメになるのが、ブローニーフィルムの撮影済み紙テープが凍ってパリパリにちぎれて封ができなくなることです。何らかで止めておかないと感光してしまいますので、寒冷地では付属の撮影済みテープを頼りにせず、輪ゴムで代用します。

f:id:blue_moment:20170126214415j:plain

左:未使用フィルムにあらかじめ輪ゴムを巻いておく 右:撮影済みフィルムに輪ゴムを巻く



寒冷地対策4:手袋のお作法 チャージは最後

マミヤ7の電源スイッチはシャッターボタンのそばにあるため、分厚い手袋で電源ON操作をするのと同時にシャッターボタンをさわってしまい、意図しないムダコマを発生させてしまいます。(10枚撮りで2コマ3コマとムダ切りするとへこむ)

手元が不器用になっているとき、ちょっとしたお作法を覚えておくとムダシャッターを防げます。コツはシャッターチャージは撮影の直前までしないこと!

(失敗例)マミヤ7 ムダシャッター製造方法
  1. シャッターチャージ
  2. 電源ON ← シャッターボタンを同時に押し込んでしまう。


【マミヤ7 シャッターチャージ お作法
  1. 電源ONにする
  2. 半押しして露出確認・ピント合わせ
  3. シャッター切る直前にチャージ
  4. 撮影(レリーズ)

f:id:blue_moment:20170126221642j:plain




携行できる中版フィルムカメラ マミヤ7

高梨豊、土田ヒロミ、畠山直哉、長島有里枝、小林紀晴、米田智子、石川直樹各氏が名作を残しているマミヤ7です。登山に持っていけるサイズなだけでなく、レンズシャッターにより1/30秒まで手持ち撮影ができます。交換レンズもペンタ67やRZ重量の半分くらいで、無理せず携行できる中版フィルムカメラです。

冬山登山や寒冷地では着ぶくれによって動作が制限されてもどかしいことが発生しますが、それでも今回紹介した4つの対策、ちょっとしたコツを覚えておくとスムーズに撮影できます。

デジカメと違ってフィルムカメラは手間がかかるというか手間ばかりなのですが、1億総カメラマン時代だからこそアナログプロセスによる1枚は厚みがあるのではないでしょうか。

荒木経惟(アラーキー)氏は写真が濡れる(ウエットプロセス)に意味があると言うことですし、手間がかかれば掛かるほどそのプロセスに作為を重ねていけるように思っています。

f:id:blue_moment:20170127164152j:plain

天狗岳を撮っているところ、写真家 川野 恭子(きょん♪)さんに撮ってもらいました!


Qomolangma チョモランマ

Qomolangma チョモランマ


撮影ツアー