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The moment

写真で食っていくためのノウハウ、風景写真のテクニックなど紹介します。

【御苗場vol.16 横浜】 勝手にレビュワー賞 ノミネート(2.0日目) 218 大塚 栄二

御苗場という特性上、まずは足を止める何かが必要

写真コンペの審査方式は様々ですが、御苗場の場合広い会場に沢山の作品が並ぶので少なくとも足を止めるに値する何かが欲しいと思います。最初は表面的なアプローチ、つまり絵柄や展示方法にあります。でも、立ち止まって後にテキストなどを眺めて立ち止まった時以上に興味を引かなかったら「なーんだ」「よくあるよね」と興味の歩みは奥に進むことはありません。広い会場でもっと面白い作品があるかも知れないと考えるのが普通です。公式レビュワーは時間をかけて全てを見るのかも知れませんが、ぼくに限らず見る側の現実的な行動として、第一印象だけ良ければいい訳でなく、その次はもう1段高みを求められます。

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「私にとって気になる存在です(だから撮っています)」という作品を会場で多く見かけます。自己表現ではあるものの他者には響いてこない。ぼくの感覚で言うと「あ、そうなんですか、あなたはそう感じているのですね。」と唸ることなく完結してしまいます。作者と見る側が互いに何かを共有するものがあり、見る側の想像が広がっていくことが写真表現が持つ魅力の1つだと考えています。

これは 【御苗場vol.16 横浜】 勝手にレビュワー賞 ノミネート(1日目) S11 田村 翔平 - The moment に書いたことです。あくまでぼくの場合ですが、撮ることで完結しているのか、撮ることをきっかけとして何かをしようとしているのかで、写真作品に対する興味の深さが変わってきます。

【御苗場vol.16 横浜】 勝手にレビュワー賞 ノミネート(2日目) 218 大塚 栄二

御苗場は1日ですべて見れるボリュームではないので、頭の中を整理をするためにも2日間かけて全体を見て回りました。会場部分(部屋の中)と廊下部分に作品展示スペースが分かれていて、会場の中に入ると外に出にくいのが正直なところです。部屋の中の方がいいのかと思いましたが、廊下部分は必ず行きか帰りに通るところなので、必ずしもどちらが有利ということはなさそうです。また、廊下部分はどこも展示前スペースにゆとりがあります。

はじめに眺めていた作品だけど頭のなかで圧倒的な量に埋もれ、帰りに再び廊下で出会い目が覚めた作品が 218 大塚 英二 です。

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写真撮影・掲載許可もらっています


ノミネート理由1:複数の時間軸を含む

写真は瞬間を撮るものですが、1枚に複数の時間軸を含んでいるであろうことを想像させる絵柄構成が面白いです。撮影のためにどのくらい通ったのかまでは分かりませんが、少なくとも赤そばの咲いている限られた時期であり、大きな写真作品の細部を眺めていると離れていては分からなかった気付きのある作品です。気付きがあるということは見ている側が作品の中に入っていった証拠です。

ノミネート理由2:絵柄構成の妙

道をテーマにした大きな1枚の作品ですが、よく見ると9枚が組み合わさり構成された1つであることが分かります。各絵柄の道が少しずつずれているのですが、そのズレとコンセプトのもどかしくもあるような感覚に頷きました。

コンセプトはまったく別のものですが、この手法は 城野 智子 写真展「結界」を彷彿させるものがあります。

ノミネート理由3:展示方法の妙

2次元である写真に立体的要素を加えテーマである道がある突如、のようにも感じられ、展示手法と相まって効果的に表現されています。この作品はオンライン作品やブック作品、つまり2次データ作品であった場合、作品の魅力は半減してしまうかも知れません。9枚の絵柄をそれぞれパネルにして1つの集合体としています。それは写真をきっかけにした表現の塊のようです。御苗場ならでは展示作品を直接見ることのできる面白さを感じました。

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シリーズ化した時の強さ

先に紹介した 【御苗場vol.16 横浜】 勝手にレビュワー賞 ノミネート(1日目) S11 田村 翔平 - The moment にも共通して、シリーズ化したところを見たいと思います。おそらく公式レビュワーも同じことを感じていると考えています。コンセプトが面白く、それがになっていること。それらが積み重なって作品として立ち上がっていくと感じています。