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写真で食っていくためのノウハウ、風景写真のテクニックなど紹介します。

冬季モンゴルの装備 オーバーグローブ・インナー手袋

まもなく冬季モンゴル撮影ツアーの出発です。今年の国内11月は例年より暖かですがモンゴルは真冬のはじまりで、気温-15℃とか場合によっては-25℃といった数字が天気予報に並びます。想像できないくらいの寒さ(?)ですが、ずっと外気に晒されるような冬山登山をする訳ではないので、装備を整えて向かえば何とでもなります。(すぐに暖かいところへ移動できます。) 数年前から冬季モンゴルの装備に関する記事を書いていますが、今回は冬季手袋レイヤリングに関する内容です。

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普段の手袋に「オーバーグローブ」+「インナー手袋」を追加


冬季モンゴルの装備 オーバーグローブ・インナー手袋

国内の風景写真は自動車でアクセスし徒歩まもなく、もしくは歩いてもそこまで歩道が整備されているようなところばかり、撮影ツアーは登山のような装備なくとも撮影できるところがほとんどです。私の体力ではちょっと・・と誤解されることが多いですが、モンゴル撮影ツアーも同等です。

撮影ツアーといった誰でも参加できるような機会は写真の険しさをよそに比較的簡単に撮影でき、厳しい条件を想像させる風景写真も実は興味関心さえあれば誰でも撮れるものですが、寒波といった一時的にイレギュラーの気象条件は夏場の台風のように気を付けます。

手袋を用意する目安として、気温一桁になるようであればインナー手袋を、氷点下であればオーバーグローブを用意します。

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撮影地の多くは自動車・施設の徒歩圏内(モンゴル・ホスタイ周辺)

冬季の撮影装備:インナー手袋

ちょっと寒さが心配、、と思ったら手袋関連で最初に用意したいのがインナー手袋です。インナー手袋とはメイン手袋の下に装着する薄手の手袋でウールブレスサーモといった素材で保温性はありますが、防風性はありません。

登山のレイヤリング(重ね着)理論でいう、ベースレイヤーにあたり、素早く汗を吸水拡散して肌をドライに保つこと(快適性)と、保温性の確保が主な目的です。

薄手の手袋なのでカメラの操作性を確保しながら、暖かい空気の層をつくり保温性を向上します。ただ、2層着用でタッチパネルなど使えなくなるので、カメラのタッチパネル操作を日常行っている場合はカメラ操作の再確認をします。

アウトドアウエアは高価なものが多いですが、インナー手袋は安いもので1,000円台からと買いやすく、タッチパネル対応など機能性があるものは高くても3,000円程度です。

使っているとボロボロになっていく生地が薄くなっていく(毛が抜けていく)ので準消耗品として考えるのと、頻繁に使う&小さく黒っぽく目立ちにくいアイテムは紛失しやすいので、海外や長期であれば2セット用意しておくと安心です。

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左:メリノウール(モンベル)・右:ブレスサーモ(ミズノ)


冬季の撮影装備:オーバーグローブ

かつてより冬期登山でオーバーグローブは必須でしたが、最近はグローブ機能が向上してメイン手袋 + インナー手袋で済んでしまう場合もあります。でも、登山のように動き続けている状況においていえる事でしょうか。

一方、早朝撮影で三脚を据えてじっと夜明けを待ったり星空を撮影するような状況では風を防ぎ体温を逃がさないより対策はありません。そこでオーバーグローブを用意しますが装備さえ整えれば-40℃もしくはそれ以上の寒冷地、例えばオーロラ鑑賞レベルまで対応します。

インナー手袋(1層目)・メイン手袋(2層目)に求めるのは主に保温性、オーバーグローブに求めるのは防風性防水性、異なる役割を持つ手袋を組み合わせるレイヤリング効果で寒さも(慣れたら)怖くありません。

一方、冬季手袋購入にアウトドアショップでオールインタイプという分厚い手袋を勧められることがあるかもしれません。簡単にレイヤリング手袋・オールインワン手袋のメリットデメリットを確認します。

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左:ノースフェイス・右:PAINE(石井スポーツオリジナル)


【3層レイヤリング】のメリット・デメリット

手に直接装着するインナー手袋、保温の機能を担うメイン手袋(中間部)防水・防風機能のオーバーグローブの3つを組み合わせるレイヤリングのメリットを一言でいうと柔軟性です。

レイヤリングのメリット

  • 手袋の組み合わせによって、暖かさや必要な機能を調整できる
  • 劣化や相性など単品で交換できる
  • それぞれ単品で使える
  • 独立した空気の層をしっかり作るのでオールインワンよりも寒くなりにくい

レイヤリングのデメリット

  • メーカーや商品の異なる組み合わせの形状相性がある(試着あるのみ)
  • 3つの手袋をするためオールインタイプより分厚くなりやすい


【オールインワン手袋】のメリット・デメリット

分厚い手袋・オールインワン手袋のメリットを一言でいうと装着・脱着の素早さと簡易性です。3層レイヤリングより少し保温性は落ちるのでインナー手袋と組み合わせてもOK。

オールインワン手袋のメリット

  • 装着・脱着の素早さ・簡易性
  • 3層レイヤリングより厚みがでないのでフィット感がある
  • 試着の手間がかからない

オールインワン手袋のデメリット
・温度調整の選択肢がない。晴天・無風環境では暑い
・破れた場合は全てを買い換える必要がある
・3層レイヤリングより保温性が落ちる

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冬季手袋選びは答えがない・・・(個人所有分、まだまだあります。)


冬季の撮影装備は答えがない!

冬季手袋選びは登山仲間でいつも盛り上がる話題のひとつで、誰もがその答え探し続けているものです。撮影する場合は特に。「最高の手袋を見つけた!」と言っていた人が翌月にはまったく別の手袋をしているというシーンは常です。笑

「インナー手袋の代わりに軍手でいいですか?」これは夏冬季節に問わずよくある質問ですがお勧めしません。インナー素材は手袋に限らず乾きにくい綿が使われているもの避けます。また厚みがありすぎるのでインナー機能としてどうなんでしょうか。

手袋はカメラとの大事な接点ですが、オーバーグローブを装着した上で小型カメラは操作しにくいことは容易に想像できます。「どの手袋を買ったらいいですか?」という質問がよくありますが、正解はありません。言えるのは、優先順位を決めて自分で探したものが正解ではないでしょうか。

個人的な考えですが、風景写真に適したカメラはある程度の大きさを確保したものです。大きいカメラはボタン操作性だけなく温度差の変化にも強い。カメラ選びは何を優先するかすべてはトレードオフ。小さく軽くて高画質でどんな状況にも対応するカメラは存在しません。繰り返しますが何を優先するか自分で決めるものです。

話を戻して、手袋においては各メーカーサイズ感素材立体設計が違うのでとにかく試し、フィットするものを見つける他ありません。石井スポーツや好日山荘といったアウトドアショップに行くと手袋だけで壁一面に数十種類あって手に取るのも迷うくらいですが、最初に試すのであれば比較的安価なモンベルを基準にするといいかも知れません。

もちろん高いものは高いだけ意味があるので、迷ったら高い方を選ぶのも正解です。笑

さて、今年のモンゴルは寒そうですが、寒い環境では漁火光柱(※)といった光の柱を見れるかもしれません。条件によっては町全体が光柱になるかも・・

※「漁火光柱」(いさりびこうちゅう)はサーチライトのように光の柱が走ります。上空の空気がある特定条件のもとで冷え、水蒸気が凍って六角板状や六角柱状などの形をした氷晶となった場合に強い光がそれらの氷晶に反射して柱状に見えるそうです。

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寒い環境で見られる漁火光柱現象


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