久保誠氏とお会いしてもう9年になります。当時からスキンダイビング(水中機材を使わない素潜り)による写真作品を継続され、今回はタイトルの通り海中の肖像写真をテーマにしたものです。エプサイトは各人物と向き合う空間になりますが、それぞれと対峙しているとそこで自分が呼吸をしていることに不思議と罪悪感を感じるなど、当たり前を再認識する重厚な空間でした。
久保 誠 写真展「海中肖像写真」@エプサイト新宿
いつも久保誠氏から伝わることは誠実であることです。誤解を恐れずに言うと、作品はもちろんのこと人柄も確かな芯がありそれが写真という平面が久保誠氏によって生き物を思わせる立体にしていきます。それは、制作に関する取り組みと言いたいことをあえて言葉にしないエネルギーのようなものがそれぞれで動き出しているようです。
世界中の情報が目の前のモニターに集約されるようなったからこそ感じることは、まだ見ぬ遠くに行くことでなく、むしろ遠くに行かないことで集約できることがあることを、久保 誠 写真展「海中肖像写真」は気づかせてくれます。
あえて制約を課すこと。配られたカードで何ができるのかを考えることは、人生そのものではないでしょうか。
こちら、2013年トークイベントを思い出して書いた記事です。
誰もが撮れるようになってから、あえて撮りづらくする(撮りづらい環境で行う)ことに鈍く鋭い輝きを感じざるを得ません。写真にあふれる今、kumako氏はオリジナリティとは? をトークイベントで問うていました。
久保 誠 写真展「海中肖像写真」kumako | Photonico(フォトニコ)
久保 誠 写真展「海中肖像写真」
クラウドファンディング・レビューサンタフェを経て、凱旋した展示は会期のこり2日です。
陸に上がった歴史が長すぎたために、人は水の星の異物になってしまった。先に海へ還った鯨類達から見れば、格好も悪く不自由極まりない。それでも潜水反射を使い、かつて自由だった頃を思い出す為に私達は閉息潜水をする。空気がないと見えない目で見てきた事を伝えるために。
- 会期:2018年5月11日(金)~5月24日(木)
- 時間:10:30~18:00(最終日は14:00まで)
- 休館:日曜日
- 会場:エプソンイメージングギャラリー エプサイト
- 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル1階
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