パリフォト・サテライト展示 から帰ってきました。公式報告は改めて行うとして、個人的感想・雑感です。全体的に来場者の興味をもってくれたのは何かしら仕掛けのあるものでした。例えばぼくの展示(写真下)を挙げると、平行・対・対峙もしく既視感など直感的に型にはめてもらい、あとは自由に思考してもらおうという試みです。それは見る側がぼくの意図から離れていくほど、意外なコメントほど僕としても楽しめますし、それらはまさに写真を通じた自由なコミュニケーションでもあります。単に制作意図を説明して終わるのではなく意見を交換できる。それも僕たちがもっとも得意とする写真ですので、中学生英語でもなんとかなるものです。 (日本でよく聞かれる場所はどこですか?機材は?絞りは? のような制作無視ともとれることは聞かれることなく、作品というフィルターで通じ合うものがあるというのはとても心地よいものです。写真を咀嚼しているなあという感覚があります。)
写真を通じたコミュニケーションを行うために
写真を通じたコミュニケーションを行うには展示する側にすべきことがきっとある訳でぼくの場合、写っているものは風景写真だけど、自然風景の不規則さをツールとして使っているだけで風景写真を目的としていません。なので与える情報として風景写真っぽいコメント(例えば撮影地とかテクニカル的なこととか。) は書きません。提示する側ができるのはそこまでですが、そこからの反応にその人の何かが見えてくるように感じています。
余談ですが、風景写真は40年間なんら変わることなく(例えばアンセル・アダムスから) それをいくらなぞっても、、と思いませんか? 実際にパリフォト会場の膨大な展示郡の中に風景写真としてあったものはMichele Kenna(マイケル・ケンナ)だけで、それを見つけた時とても懐かしく感じたものです。
制作のはじまりは自分の立場を宣言すること
自分たちの展示・パリフォトをはじめとする写真イベントの他、フランス滞在とトランジット先のドーハで観光もあわせて楽しんできました。それらは一言でいったら目の保養でしかないのかもしれません。旅行者(その土地の他者)として表面的な視覚情報が主でしたが、帰国後にラジオ(JAM THE WORLD:J-WAVE)で久しぶりに聞いた社会問題を耳にし、自分の国に帰ってきたことを感じました。ラジオの専門家とともに思考する(根っこに近づく行為)ことこそ、その国の人という証であると実感しています。
パスポートに書かれた国名は単なるアイコンでしかなく、自分が何とリレーションしているのか? を考え・宣言することは作品制作に通ずる核と言えます。表面的な観光を悔いているわけではなく、それら振り幅があってこそ改めて自分の立ち位置が定まるのかも知れません。
制作のスタートであるリレーションとともに今回改めて感じたのが、リファレンス(参照)です。制作力のある人は日常的にそれが身についていて、リレーション・リファレンスの繰り返し動作は制作における助走ともいうべき基礎的な部分であると感じました。
パリ・フォトサテライト展示2017 報告会
帰国直後のぼんやりとした頭で雑感として書きましたが、来月12月に改めて パリ・フォトサテライト展示2017 報告会 を開催いたします。主要イベントである パリ・フォト や fotofever に去年はじめて行ったのですが、去年fotofever出展は決して高いハードルではないことに気づき、今年はパリ・フォト出展も意外と身近なのかな?? と感じました。作品制作と傾向・パリ生活とともに現地に行った主観とともに報告会を開催いたします。
作品制作・展示
- パリフォト/フォトフィーバー、日本人作家の関わり
- パリ・フォトへの最短距離を発見
- 海外展示の集客とフランス語について
- 興味を持ってもらえる作品傾向
- 継続的な販路の提示と出版について
- 出展してくても繋がれること
- インスタグラム・ツイッターのフォロワー来場
パリ生活
- 天気と観光
- AirBnb/ホテルを使う
- レンタサイクルと本屋
- スリ対策
開催情報
- 2017年 12月15日(金)19:30-20:45
- 自由が丘スタジオ6F(東京都目黒区自由が丘1-7-15)
- 自由が丘駅南口から徒歩1~2分
- 料金:1,500円
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