The moment

写真で食っていくためのノウハウ、風景写真のテクニックなど紹介します。

武藤 裕也 mutoyuya.eth 2022年版【自己紹介】前半:カメラマンとして10年

⾃動⾞開発業から⼀転、カメラマンとして活動。旅⾏会社と業務提携し10年間、⾵景写真を主な⽣業としていましたが、2020年コロナウイルスの流⾏と共に仕事がなくなりました。その間に出会った問いと気付き。コロナ禍で見出した物事の2面性。ポジティブな視点は2021年はリコーイメージングスクエア東京で写真展へ接続。そしてNFTメタバースを通じて様々な立場の方に出会うきっかけとなり新たな原動力としてまだ見ぬ輪郭を掴もうとしています。自己紹介は簡潔に行うものがセオリーですが、思うがままに書いた9,000文字です。よろしければお付き合いください。(随時更新予定)




フリーランスカメラマンとして

⾃動⾞開発業から⼀転、カメラマンとして活動。退職した直後、風景写真を撮るために雪深い裏磐梯(福島県北塩原村)へ移住。

そして、旅⾏会社と業務提携し10年間、⾵景写真を主な⽣業としていましたが、2020年コロナウイルスの流⾏と共に仕事がなくなりました。

フリーランス活動開始して数年は積極的にカメラ・写真誌へ寄稿していました。写真講座はアウトドア関連の撮影やレタッチ講座などを開催。

遡れば、著書もあります。

>> キヤノン EOS Kiss X6i & X5 撮り方ハンディブック(マイナビ出版)

カメラ・写真誌へ寄稿/著書・講座風景


写真の価値について考えた10年

写真を始めたころはいわゆる映える⾃然⾵景写真を撮っていましたが、SNSブームで疑問が生まれます。

WEB検索をすれば撮影スポットなる場所を調べることができ、皆が似たような写真を撮る。

更には年々カメラ⼈⼝が増えてゆき、その価値が薄まる一方であるように思えてなりません。大多数の中のひとりになってしまって良いのだろうか?

移住した裏磐梯の夏・冬


世界の写真表現・美術史における価値

それでも映える写真はお⾦になりやすい。
⾃分の考える写真制作の軸と、稼ぐための写真との間にある価値観のズレはストレスでした。

映える写真を撮り続けて良いのか、という疑問とともにもっと写真を知りたいという⼀⼼で世界最⼤級のイベント パリフォトへ⾜を運んだり、フランスで写真展を開催しました。そして写真にとどまらず美術史におけるアートが築いてきた価値を学ぶようになります。

稼ぐためのデザイン、創作のためのアートは表面的に似ているものの交わらない部分があります。現代美術は既成概念との闘い。一人で解決できない悩みもまた同じく悩んでいる人もいて歴史と重ねて理解と次へ踏み出す一歩になる事を学びました。

フランスにて活動


10年間の展示経験:およそ30回

主な写真展

「雪とけて それから」]富⼠フイルムフォトサロン(2010年)

コロナ禍で⾒えた事象のネガティブ・ポジティブ

2020年コロナウイルスの流行とともに私は⾵景写真の仕事を失いましたが、それまでの10年間、⾃然⾵景と向き合う中で得たものと⾔えば、⼈は「環境によって⽣かされている」という物事を客観的に⾒つめる視点です。

急にやってきたコロナ禍で不平をいったところで解決しえない事象、⽣かされている環境のひとつとして⾃分なりに租借をしていました。

10年間、遠くや特別なところへ⾏って風景写真を撮ることを常としていましたが、ステイホームの発令にあらがうことなく⼀切の遠出を辞めました。制作ルーティン制限した中、⾒えてくるものがあるのだろうか?という試み、社会的に今問題となっているコロナを等⾝⼤で⾒つめる試みとして、⾃宅から徒歩圏内の散歩を日課としました。

桜が咲くころ〜GW 前後まで、SNS 上はネガティブなコメントが多かったと記憶しています。
そこで、ポジティブな⾯はないのだろうか、各国の政府対策や医療テクノロジーなどグローバルな対策をもってしても限界がある中、クリエイティブ(創造性)でサポートできる部分はないのだろうかと考えていました。

私が写真をやっている元々の理由は、現実に向き合うためでもあります。物事には表と裏があり、それぞれの事象に光をあて向き合って現実を⾒てみたいということが撮影の動機です。

そこで私は「ほころび」という⾔葉に出会いました。

「ほころび」は⽷がほどける、布がほつれるというネガティブな意味とともに、硬かったつぼみが柔らかくなるというポジティブな意味も併せ持ちます。

⽇課としていた⾃宅周辺での散歩の際に、雑草・草花を採集していました。
そして、その頃に私の目を賑わせていたタンポポの綿⽑はそっと⼿が触れるだけで儚く形を崩してしまいますが、その脆さこそが遠くへとその次の命を運ぶ強さでもあることに気付かされます。

その⼆⾯性を「ほころび」のイメージに重ねた作品を展開し、翌2021年にリコーイメージングスクエア東京にて写真展の開催となりました。

今までの制作スタイルから一転し、徒歩圏内で構成した驚きと制作におけるコンセプトの重要性を改めて考えるものとなります。新しさとは表面的なものでなく思考や気づきにあります。

muto.photowork.jp

カメラを使わないフォトグラム(左)・モノクロネガ(右)


コロナ禍で生まれた作品ステートメント

浮き沈みがありながらも社会は進展していくものだ。

しかし、2020年は誰もが想像していない程の事態となった。
僅かな「綻び」がいつしか収集の付かないほつれとなり際限なく広がっていった。

⼀変した⽣活、有り余る時間の中で私は⾃宅から徒歩圏内の植物を採集するようになった。

柔らかに⽇常を彩るタンポポの花は、
⾒頃を終えると閉じた花弁が蕾のようになり、やがて、綿⽑となって再び部屋を明るくする。

タンポポの綿⽑は、⾒るほどに⼿に取るほどに不思議なものだ。
⽩⾊が透けたような球体になる植物は他になく、そっと触れるだけでその形は崩れてしまう。

頼りなげな綿⽑の⼀つ⼀つは、やがてそよ⾵に乗って⾃らの使命を果たしに⾏く。

「綻び」という⾔葉は、布がほつれる、縫い⽬がほどけるという定型の乱れを表す⼀⽅で、
固かったつぼみが少し開くという明るい兆しの意味合いをまた持つ。

そう気が付くと、こんな状況にありながらも、綿⽑を眺めながら前向きな、願うような感情が湧いてくる。

⾃然は⻑い時間をかけて変わらぬ営みを繰り返し、静かに新しい命をつなぐ。

綻びほつれたこの⼤きな境⽬の向こうにも、やがて回⽣の⼀端を⾒出せるのかもしれない。

>> リコーイメージングスクエア(公式)




自由と未来はつくれる

会社員の頃まで話は戻ります。
フリーランスになって気づいたのですが、すでにカテゴライズされているようなもの、ビジネスモデルとして成り⽴っている事象に興味が薄く、⼀⽅で予想のつかないもの、⾃ら築き上げるものに関心を抱いていたようです。

社会⼈になってから平均年収という⽬標を立てたもののわずか数年であっさり平均年収を超え、意外とあっけないというより虚しさを感じていました。当時ニュースで労働環境が問題になっている中で⾃分は年休を完全に消化しないとむしろ怒られるような恵まれた職場でした。

そこで、⼤した苦労もなくぬくぬくと定年を迎え平凡なサラリーマン像となることしか想像できず、そんな未来にがっかりして会社を辞めました。

その決め⼿となったのはサミュエル・ウルマンのYouthという詩に出会ったことです。
全文は長いのですが要約するとこのようなものです。

⽼いとは年を重ねるものではありません。
希望を失ったとき、はじめて⽼いが来るのです。

鏡に映った⾃分がすでに定年を迎えた姿に⾒えたのです。

かねてより、⾃由とは制約の中でしか感じることができないものという思いがあります。

かつて絵を描いていた時期もありましたが、思い描いた通り自由に描ける絵は果たして自由なのかと疑問を持ち筆を置きました。

一方、写真は思い描いた通りにはならないもので、撮影対象や環境に縛られます。
制約された中でいったい何ができるのかということは、自然と思い浮かぶ課題でもあり、⾃⾝の命題としているところでもあります。

時代の需要に応じて、仕事ではデジタルをメインに扱っていますが、⾃⾝の制作活動においては、現在も写真本来の⼿法であるとも⾔えるフィルム印画紙を⽤いた制作を⾏なっています。

不⾃由なほど、⾃由を感じることができるという事に気づいたこともフィルムカメラの撮影を通じて得た気づきです。

思い返せば、親に買ってもらったWindows95(まだ持っている)を使ってダイヤルアップ通信をしていました。

個⼈売買のための雑誌を通じて⼿紙を送ってバイクの部品を⼊⼿していたところ、ヤフーオークションが⼀気に⼿間と時間を圧縮してくれたこと。販売店という第三者を経ずに個人間でやり取りできる仕組み(Web2.0)は新鮮な体験でした。

それ以降、常時接続できるi-modeがいつの間にかスマホに置き換わり、また、会社組織という縦構造から⾮中央集権という考え~動き(Web3.0)が今まさに立ち上がっています。

時代の流れとともに、⾃らも⾝を投じて今までコミットしそびれていた新しい技術や思想に参⼊していきたい、築き上げていきたい。不自由を自由に変えていきたい。不自由と自由のグラデーションを見つめることが私にとって命題なのかも知れません。

自由と言いう不確かなものに触れてみたい。未来という不明瞭な輪郭も似ていると思います。

自由と未来は作ればいい。

退職時にカメラ以外のすべてを処分


NFTをはじめたきっかけ

経歴が長くなりましたが、ここからNFTをはじめたきっかけです。
2021年3⽉の美術⼿帖に掲載のあったBeepleの記事で初めてNFTを知りました。

NFTを知ったもののOpensea などの販売プラットフォームなどを知らず、情報を探す中、偶然に⾒つけたオンラインワークショップ(chocofactory)に参加。そこで初めて作品をMintをしてみたものの、NFT化された作品の表示方法すら分からないレベルでした。

その後、コインチェックのブログでThe Sandbox NFT の販売を知り、デジタルなのに10万円を超えるその値段に驚くものの触らないと分からないと考えLANDを購⼊。

この頃、⽇本にNFTが浸透しはじめた時期であったこともあり、今となっては貴重なNFTに触れていました。

調べてから行動するのでなくまず飛び込む(NFTを買う)ことで当事者となってみる。今となって感じることですが、直観的に動けることは黎明期に必要なスキルだったのかも知れません。


2021/04/15 購入)TOKYO FM「News Sapiens」番組内で発行したNFT(明石ガクト)

opensea.io

コインチェックで購入したThe SandBoxのLAND


NFTというメディウムをヒントに

およそ100 年前にヴァルター・ベンヤミンは、映画や写真のようにコピーを⼤量⽣産することが可能になった時代において、オリジナルの作品から失われるものがある=「アウラ」の概念を提唱しました。

昨今においては、デジタル技術・デジタルカメラの発展で写真がより⼤衆化し、撮影スポットで量産される無個性の写真の存在がありますが、写真に携わる者として、私はその価値をどのように扱って良いのかと疑問を持っていました。

そこに現れた、複製可能なデジタルデータの唯⼀性を証明できる(可能性のある)NFTに、アウラへの問いが結びつくヒントになりそうです。これを使わない⼿はありません。

私は単なる販売所としてNFTを使うのではなく⽬的を持ってツールもしくはメディウムとして使ってみたいと考えています。それらの事例が増えるほど実社会やメタバースで活用できるアイデアが連鎖していくのではないでしょうか。

アウラ:複製芸術への問い

>> 自己紹介(後半):NFT / メタバース に続きます(Work In Progress)


おまけ)最近の動き

メタバース活動・フィジカルイベントの開催。メタバースは近日再始動予定。新しいものを作ります。
今まで交流のなかった方々、更には音楽・芸能という垣根を越えて意見交換できる今は何かが立ち上がる黎明期ならではと言えます。

Meta Asakusa(中止)

Meta Asakusaプロジェクトはコピーという指摘があり中止とします。たくさんの応援を頂いた中で盲目的だったと反省しています。ご心配をおかけした皆様すみませんでした。

これは2021年12月の初めに初めてメタバース構築の経験としては、誰⼀⼈会ったこともないメンバーとともに⼀ヶ⽉⾜らずで⽴ちあげました。

⾵景写真家として国内外を広くみてきた⾃分なりの価値観として、美しさの基準の⼀つに「循環」という視点を持っています。 ex.四季 ⼈のエコシステム(⽣活・商売)

⽣活・⽂化・観光・商売、、、あらゆるものがエコシステムとして⾃⽴発⽣的に成⽴していること、そして景観としての唯⼀性については⾔わずもがなでしょう。

それが⾃陣の⽣活のとても⾝近な場所にあることからも、メタバースとして再現できるのではないかという思いがありました。

muto.photowork.jp


アートポトラック 2021 「NFT アート」のいまと未来@スタジオD21(2021/12/04)

関係者を招いて、3部構成のトークイベントを開催。
私のところにやってきた詐欺師の話で盛り上がりました。

  • いま知っておきたい!「NFT アート」の基本と国内外の市場動向(浅田真理)
  • SHOOTING「NFTアート作品」販売スタート記念座談会(池谷友秀・PHOTOGRAPHER HAL・湯沢英治・高橋枝里・高倉大輔)
  • 写真家、コレクターから見た「NFT アート」の魅力(武藤裕也)

アートポトラック 2021 「NFT アート」のいまと未来 | art Potluck website/アートポトラック ウェブサイト


NFT CROSSING@Tokyo Institute of Photography

NFT~ブロックチェーン関連で活躍をする方々をお招きしてトークイベントを開催しています。
2022年1月~8月で3回開催。

イギリスのアート誌 Art Review が発表する、アート界でもっとも影響力のあるランキング「Power 100」で2021年に1位に選ばれたり、雑誌『美術手帖』でも特集が組まれるなど注目を集めた「NFT」ですが、その実情はどういうものなのか?


NFT CROSSING:2022/01/08
  • 一緒に学ぼうNFT基礎知識(渡部さとる・武藤裕也・速水惟広)
  • アートの価値×NFTをどう考える?(浅田真理・武藤裕也・速水惟広)
  • コミュニティの価値と海外マーケット(はやっち・りぼん・速水惟広)


NFT CROSSING #02:2022/05/22

メラタケル氏へインタビュー・解説

  • 今までどのような出来事があったのか(ポジ・ネガ)
  • SuperRareの審査
  • 国内マーケットnanakusa(現・SBINFT Market)の誕生について
  • 作品解説

3名のプロジェクト「M3」について(写真×音楽×メタバースなど)

  • アートがデジタルである意味
  • 自身の作家性について、制作意欲の根源と理想像
  • NFTやブロックチェーンのある未来に期待すること など

ゲスト:mera takeru (メラ タケル) × Satoshi Miyachi × Muto Yuya
司会:速水 惟広




NFT CROSSING #03

mera takeru (メラ タケル) 氏と、Kawaii SKULL氏によるトーク。
また、コラボNFT2点付きのVIPチケットを期間限定・先着順にて販売。

  • 自己紹介~制作紹介
  • お互いの活動や印象について
  • 制作に影響する部分について
  • NFTとフィジカルの連携について
  • NFTやブロックチェーンに期待をすること、実現させたいこと

ゲスト:mera takeru (メラ タケル) × Kawaii SKULL
司会:速水 惟広
企画:武藤 裕也