パリ展示から帰って翌日から2連続で 撮影ツアー が入っていてようやく迎えた週末に、鹿野貴司先生「日本一小さな町の写真館」(ニコンサロン新宿) に行ってきました。会場で写真を見るまで町民ほぼ全員のポートレートを撮るということにピンと来なかったのですが、単に町民を撮るというプロジェクトを越えて現地に溶け込む姿は 土門拳 筑豊のこどもたち を連想させました。
「日本一小さな町の写真館」残された日本の縮図
海外旅行の魅力のひとつに異文化に触れることが挙げられ、そこで日本との対比を誰もが考えるのではないでしょうか。現地の人ははしきりに「◯◯を食べていけ」と自国を誇りますが、それらと同じように今まで日本が当たり前に培ってきたであろう営みの美しさが、日本一小さな町の写真館で再認識できる日本の誇れるところなのではないかと感じました。
山梨県早川町 日本一小さな町の写真館 写真集
写真集は写真展会場に掲載のないカットがあるのはもちろんですが、掲載点数やテキストを読んで写真展会場から溢れ出た鹿野貴司先生のエネルギーを写真集が改めて受け止めているように感じます。会場で横並びだったイメージが写真集で見開きになることで、別の角度から飛び込んでくる印象も新鮮です。
鹿野貴司写真展 「山梨県早川町 日本一小さな町の写真館」
- 日程:11/8 (火) ~11/21 (月)
- 時間:10:30~18:30(最終日は15時まで)
- 会場:ニコンサロン銀座
昨日伺って書いている今、今日11/21 (月)が最終日ですが、写真というツールの役割を改めて感じる見逃せない写真展です。写っている人、それを見ている自分も生を受けて営んでいることがささやかな喜びであって、それを共有しているかのような気持ちにさせる包容力のある写真群です。
この時期になると今年の写真展を振り返るようになります。今年は良質な写真をたくさん見てきました。人が人に接するその素直さは、木村伊兵衛賞に値する写真展・写真集ではないでしょうか。
- 作者: 鹿野貴司
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2016/09/26
- メディア: 大型本
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